中小企業をITで元気に!

2-3 現場は古参の「声高おじさん」が仕切っている

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【中小企業の現場は古参の社員が多い】

 

ある程度の歴史がある中小企業では、現場で中心的に動く社員は年齢を重ねた古参の社員が多いものです。成長している企業は従業員も次々と新人が補充されて古参社員は管理職や後方に回ることになりますが、成長が遅い企業は新陳代謝が無く、人材に余裕がないのでローテーションもありません。必然的にそのまま現場に居座ることになります。何時しか慣れによる生産性向上は頭打ちになり、マンネリ化と保守化の弊害が目立つようになるのです。そしてそれは情報システムの有効活用問題でも大変なハザードとなってきます。彼らは若い時にITやPCに触れることはありませんでした。誰でもそうですが年配になってから遭遇したものを受け入れるのは大変な事です。新しいものに慣れるより、自分の手慣れた手順が一番だと思い込んでいるし、実際に本人にとってはそうなのです。そこに変化を強要すればその反応はどうなるか自明です。

時代の流れと言っても、自分が長年築いた業務の手順や役割を変更され、自分が一番熟知して必要とされた現場で、今度は部下に確認しながら仕事をする羽目になるのは耐え難いものです。そんな追い込まれた状況下では、新しい方法(情報システム化)に少しでも隙があったり、周りから苦情が出たらこの時とばかりと「こんなシステムは使いにくくてだめだ」「長年の以前のやり方が一番良い」と声高に叫ぶことでしょう。現場の指導的立場である人だけにこの叫びは無視できなくなります。

 

【権限や権力を持つ人が反対していると委縮する】

 

このような「声高おじさん」に対して、情報システム担当者はめっぽう弱い立場にいます。入社年度は大概後輩にあたります。常日頃から現場第一の空気の中で真っ先にお伺いを立てる存在で、実際に経営者レベルも一目置いている、どこの会社にもそんな人が現場には一人や二人必ず存在するはずです。それでも人格的に年相応にこなれていればまだ救いようがありますが、自分の苦手なITやPC問題は、自分の権威を貶めると日ごろから目の敵にしている可能性もあります。こうなると情報システム担当者は委縮して何もコミュニケーションが取れないことになり、蛇ににらまれた蛙になってしまうでしょう。情報システムの開発や運用に際して現場の責任者、実力者クラスとのスムーズな関係性を築けないと致命的です。

 

【どうすれば「声高おじさん」が協力者になってくれるか】

 

この問題に特効薬はありません。中小企業で情報システムを担当する羽目になったら、経営者や現場の実力者の存在は自分で変えられない与件として割り切るしかないのです。割り切ったうえで相手の懐に飛び込んで協力してもらえるような人間関係を構築すること以外解決の道はありません。間違っても「技術を知らない相手とは話したくない」などと思ってはいけないのです。自らが関係作りができないときは協力者を頼って相手の立場や性格をみて、使い分けることを試みましょう。

どうして自分がそこまでして情報システムの有効活用をしなければならないのか?・・・と考えるなら、即刻その役割を返上するべきと思います。中小企業の情報システム有効活用を推進するには、技術よりも人の関係性に長けていないと成功しません。失敗することが判っていて引き受けるべきではありません。逆に言えば経営者は推進役の人事を決めるとき、技術重視より人間性重視で情報システム担当者を決めるべきなのです。