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9-1 利用者のシステム入替に対する抵抗は意外と根強い

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【既存システムの操作に慣れ切った人】
人の慣れというものは恐ろしいものです。情報システムの世界でも同じことです。システムを利用するための操作は最初はぎこちなくても、慣れてくると素早く、要領よくできるようになることは皆さんよくご承知と思います。情報システムはまだ黎明期や発展期では操作の関係者は訓練された専門の人や情報システム開発の関係者だけでした。この段階では操作が未熟だったり、システム操作に慣れなくて情報システムを利用しにくいという弊害を心配することはありませんでした。
しかし利用する領域が企業の業務全般になるにつれ、普通の一般人も利用することになりました。残念ながらその中には年配者もいます。機械の操作が苦手な人もいます。どんな人も同じようにシステムを操作する必要に迫られました。システムの操作が得意でない人は新システムの導入に伴ってシステムの操作を新しくマスターしなければなりません。
これが意外と時間がかかるのです。特に長年慣れ親しんだ旧システムから移る場合が厄介なのです。日本だけで使われたガラケーは、スマホという新しく沢山の機能を積んだ携帯が出てきても、根強く使われていました。ガラケーが生産できなくなった現在でも、スマホをガラケーと同じ操作ができるように工夫して売り出しているメーカーがあります。それほど慣れ親しんだ(苦労して慣れた)旧システムの操作を捨てて新しい環境に移ることは一般の人にはハードルが高いと認識しなければなりません。

 

【今後はインフラシステムの操作はできて当たり前】
悪いことに最近のシステムの操作は業務システムの操作だけを知っていればシステムを利用することができる訳ではありません。以前のシステムはそれぞれの業務中心に情報システムが開発されていました。だから業務に関する一通りの操作を覚えて理解すればそれ以上の知識を要求されることはありませんでした。最近は違います。業務システムを支えるためのインフラと称する情報システムの基盤を構成するシステムが必ず存在し、その上で業務システムが動く仕組みになっています。業務システムを操作するためにはインフラシステムの基本的な操作を覚えなくてはなりません。代表的なインフラはマイクロソフトやグーグルの製品になります。これらのインフラベンダーはオペレーティングシステムやブラウザーと称するインターネットの入り口画面だけにとどまらず、利用者の囲い込み戦略もかねてアウトルックやグーグルスイートというグループウェア(企業のオフィスワークを進める上で便利なツール群)も抱き合わせで提供しています。これらのツールも業務システムと連携をしているので当たり前に使いこなさないと操作に難儀することになります。スマホを自在に操り、新しいツールをどんどん取り入れる若い人と違ってある程度の年齢になった世代は新しい環境に抵抗感があります。俗にいう「サクサク」とシステム操作ができないことに苛立たしさを覚えるものです。

 

【システムの評価に直結する】
なぜシステム操作の習得が重要かと言えば、操作に慣れないシステムは業務改革を狙ったシステムやどんな素晴らしい機能を兼ね備えたシステムでも、当初の目的(生産性の改善、事業戦略の実現等)を達成できません。利用する人が慣れ親しんでシステムの機能を充分に発揮してこそ情報システムの存在意義があるのです。慣れるのに時間がかかる人の立場で考えてみましょう。周りの人がどんどん操作を理解していくのに、自分の理解が遅いと素直に聞いたり教えを乞うことができなくなります。同じことを何回も聞いているとますます聞けなくなります。職場の立場が上の人ほどそうなりがちです。そんな状況でシステム側にトラブルがあったり、不具合が生じたりすると声高に「このシステムは使いにくい。問題が多すぎる」と言い出しかねません。
このようなことが度重なるといつしかシステムの評価が落ちることになります。システム操作が不得手な人に対する対応は丁寧に行うことが肝心です。

 

【解決は2段構えで】
インフラのシステム操作は利用者側で決定できません。選択したインフラの使い方に慣れるしかありません。またそのインフラ環境で動作する業務システムも使いやすい工夫をしたとしても限界があります。やはり利用者に対して手厚い研修をしてシステムに慣れてもらうしか方法はないのです。システムの導入、推進をする立場の人は通常の感覚で研修に臨んではいけません。導入前に利用マニュアルの整備と実務研修を実施するのは当たり前ですが、加えて次のような工夫をすべきです。先ず職場単位に一番理解している人を指導員に任命します。システムの操作は一通りの研修をしても、自分自身で操作をして身をもって体験しないと身につきません。そのために指導員は慣れることに時間がかかる人にハンズオンで操作を教える役割を担ってもらいます。更に本番が始まったあとも、慣れない人のための再度同じような研修講座を開設することをお勧めします。いきなりの研修では理解できなかったことも、自分が経験したうえで再度の研修はいろいろな疑問や理解不足の点を効率よくカバーしてくれます。そのくらい用意周到に研修を実施することがシステムの有効活用には必要だという事を認識して下さい。