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8-1 新システムに必要なデータはどこにある

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【データ移行という作業】

企業の基幹システムでは、新たに情報システムを開発したときに必ず移行作業が発生します。具体的に言うと企業活動を遂行するために必要なデータを事前にシステムに投入する作業の事です。例えば会計関連のシステムであれば、稼働開始年度の前年までの経過データになります。また生産管理系のシステムならシステムの稼働前までの在庫データ等がそれです。そしてそのデータはシステムの種類や性格によって様々です。またその形態や移行するデータの存在する媒体(紙、電子媒体)で移行方法が違ってきます。

従って通常は企業ごと、情報システム毎に移行するデータの存在と新情報システムが求めるデータの型式ごとに移行の方法が違うので、システムに入力し、結果を検証するために移行システムを設計し、開発することになります。規模が小さいうちは手作業でも可能です。

 

 

【新規に作成する情報システムの場合】

 新規にシステムを開発して新しく稼働させる場合の移行作業というのは、あちこちに散乱しているシステムで必要なデータを、集めて、整理し、時には加工してシステムに投入することになります。一番顕著なものはマスターデータと呼ばれるものです。例えば販売製品マスター(販売対象製品の名称や形式)、取引先マスター、部門名称マスターなどです。この種のデータは情報システム化以前は企業の中で、部門毎に同じデータが違う名称で存在することが多いのです。そしてそれぞれの部門や時には個人単位で管理をしていて全社共通の情報になっていません。このデータを集めて整合性をチェックして統一したデータの集合体にすることが必要で、意外と手間取る作業になります。ですからこのような作業は計画時に見過ごさないで予定することが大事です。これもプロジェクトマネジメントの妙と言えます。

システムが本稼働したときもこのデータが不備だとトラブルに繋がります。情報システムの稼働初期だとトラブルの原因が、システムのバグ(虫,、瑕疵)なのかデータの不備なのかすぐに判断できなくて原因追及に手間取ることになります。その結果システムの信頼度が下がり、利用者の不信感を募ることになります。極力事前に移行データの正確性を確認する必要があります。

 

【旧システムが存在している場合】

旧システムが存在し、日常的に稼働しているケースではデータの移行はある程度自動化できるものです。ただ旧システムにない機能を新システムに加えた場合、それに伴ってマスタデータや蓄積データの内容を変更しなくてはいけないケースがあります。その場合は移行システムの設計段階で、十分な検討をして対処しなくてはいけません。また難しいのは新システムへデータを移行した後、新システムが稼働するまでの間、時間的な間隔があると、その間に発生した旧システムへのトランザクションとそれに伴う処理を新システムにどのように反映するか考えなくてはいけません。

 

【移行作業の重要性】

この作業の難しい点は正確なデータを正確に入力しないと新システムがいろいろな形でトラブルを引き超すことになるのです。そしてトラブルの原因を特定するまでは、開発した新システムの処理が誤っているか、データが誤っているかの判断が瞬時にできなくて新システムの信頼性に影を落とすことになりかねません。そのためただのデータの入力作業と侮ってはいけません。またこの作業では入力を集中的に外部委託しても、最終確認は利用者が責任をもって行う必要があります。

もう一つ移行作業で難しい局面があります。移行対象になるデータの信頼性(信憑性)です。一般的にデータは企業活動の中でごみが溜まるといいますが、データもしっかりとメンテナンスしないと劣化します。一番わかりやすい例は顧客データです。担当替えや転勤などで役職や住所が変更になっても手元のデータが変更されていないと業務上不都合なことが発生します。また社内の複数の部署でそれぞれ自分たちの都合のよい形で顧客データを持つことも見受けられます。単純に統合すると同一顧客でも複数の別の顧客として登録することになります。移行作業ではこのようなデータを洗濯をして綺麗にしたうえでシステムに投入する必要があります。これをデータのクレンジング作業と言います。そして大概は人手による判断に頼るしかありません。移行作業は地味ですが大事な作業なのです。