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7-1 システム開発のスケジュールが遅れる

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【情報システム開発プロジェクトは大半が遅延する】

まず情報システムの開発や導入に関しては、世間の大半のプロジェクトが遅延しているのが現実です。JUASのユーザ調査報告でもシステムの開発や導入プロジェクトにおいてQCD(品質、コスト、納期)が計画時の予定を達成していない割合が8割を超えると報告されています。だからと言って遅れるのが当たりまえと言っているわけではありません。情報システムに関するプロジェクトは、スタートしてみなければわからない負の変動要素が沢山あるという事を認識してほしいのです。そしてこの問題は基本的にプロジェクトマネジメントととして解決するべき問題なのです。計画段階で予測できるものもあります。しかし全く想定できなくて、見えないこともあります。これらはプロジェクトを走らせながらリスクマネジメントをしっかり行って、問題が顕在化する前にトラブルの芽を摘み取ることが原則です。経営者の立場で考えるなら、途中経過では、ある程度問題が発生してもプロジェクトマネジャーを信頼しているなら、周辺からの雑音にも動じないでプロジェクトマネジャを支えることが一番の処方箋になります。不幸にも信頼できないときは交代する以外の解決策はありません。

 

【当初の予定は妥当だったのか】

スケジュールが遅れてきたからと言っても、何に対しての遅れなのかを明確にしなければなりません。当然、当初作成した計画(スケジュール)に対しての遅れになります。この場合そもそも当初計画が妥当であったかどうかが問題になります。ますそれを検証しなければなりません。但しある程度の検証が済んだら、過ぎたことにこだわって責任問題を議論しても解決にはなりません。その反省を生かし、今後のスケジュールを再作成し、リカバリーに努めることを優先するべきです。よくあるケースは、諸事情で本稼働時期が先に決定され、そこから逆算して計画を作成することです。こんな時は大概無理をして稼働日に間に合わせる計画を作り、遅れの原因になることが常です。このような問題をできるだけ未然に防ぐ方法は、実際にプロジェクトを担当する責任者に計画を作成してもらう事です。安易に当初計画に問題があったという状況を作らないことも予防対策の一つです。計画を作る人とプロジェクトを担当する人が別だと、責任のなすり合いが始まる場面を何回も見てきました。

 

【遅れていることが判らない、把握できない】

計画には問題が無くても、プロジェクトには遅れる潜在要因が沢山ありますので、常に気を抜かないで進捗のモニタリングを行って確認しなければなりません。しかしこのモニタリングが正確でないと遅れていることが判らない、把握できないという最悪の症状を引き起こします。最後に完成期日が到来して初めて完成していないことに気が付くことなどよくあります。建物を建てるときの進捗は、現実に目の前で建物が見えるのである程度わかります。しかし情報システムの開発状況は目で確認する術があまりないのです。特に品質の問題を確認する方法は簡単ではありません。開発対象のシステムの量と品質をできるだけ見える化するためための仕掛けを工夫して、プロジェクト運営の中に組み込んでモニタリングをするしか方法がありません。これをしっかりと実施するのもプロジェクトマネジメントの妙です。

 

【対策は人的リソースの追加投入、しかしそれがさらに足を引っ張る】

遅れが顕在化したとき大事なことは初期対応を誤らないことです。できるだけ早く対策を実施することが鉄則です。もう少し様子を見てから判断しようという「問題先送り」の誘惑が常にありますが大概傷口を大きくして後悔する羽目になります。ある程度の原因追及を終えたら、回復を目指して対策を考えなければなりません。情報システムの開発スケジュールの対策はいろいろありますが、ここでは個別のケースを説明するのは控えます。少なくてもセオリーとして言えるのは小規模プロジェクトであれば小回りが利くので対策も大事にはならないことが多いですが、大規模プロジェクトが大変です。そして不幸なことに稼働日を死守しなければならない場合の対策は、プロジェクト要員の増強になります。大規模プロジェクトマネジメントは非常に難しい上に、更に大規模になってしまうのです。人が増えれば増えるほどコミュニケーションパスが指数級数的に増えるので次なる困難が待ち受けています。「増員を対策として決断するのは最後の選択肢」という決意で、まず他の対策を考えることがいい結果を生むことが多いのです。