中小企業をITで元気に!

6-2 利用部門にも情報システム理解者を育成しよう

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【利用部門の人が一番業務を知っている】

 大企業では情報システムに関しては「情報システム部門は作る人」「利用部門は使う人」という住み分けができていました。しかし人材的な余裕の無い中小企業ではそのような分業体制は無理なことは自明です。専任の情報システム人材は100名規模の企業で1名という感じです。では自社で自立的な情報システム体制を敷くにはどうすればいいでしょう。利用部門(現場)の中心的な人に少しばかりの情報システム的スキルを習得してもらい、システム開発の一員としてシステムの業務要件定義に参加してもらう。利用者への稼働前の研修を担当してもらう。稼働後の利用者のQAに対応してもらう、そしてシステムの改善を担当してもらうのです。現場にいるわけですから問題意識を持っている人なら一番問題点をよく知っているはずです。業務を改革する場合は現場に近いと発想が狭くて改革案が出ないと言われます。しかし改善をするには現場に精通して問題意識を持っている人が最適なのです。

 

 

 

 

【システム的な思考を訓練】

現場に在籍していてシステム開発に参加する事など出来るのでしょうか。ご安心ください。最近のシステム開発はそれほど専門知識が無くても、可能になりました。パソコン上のエクセルを定義したり操作したりすることはどこの企業でも既に行われています。その程度のスキルがあって教師役が付いていれば十分に要件定義が可能になりました。当然中心人物ですから全日の参加は難しいでしょう。本業の状況にもよりますが週一日を振り向けることができれば大丈夫です。

このような形式でプロジェクトを発足させて自分たちの体にあった情報システムを開発してゆくのです。業務一覧表(業務の棚卸)、業務フロー、問題/課題リストの3点セットの作成方法のレクチャを受けること。全社の情報体系を理解するためにER図を記述すること。これがシステム的な思考を育む訓練になります。

 

【利用部門のIT担当者の役割】

利用部門で中心的な役割を果たしている人に情報システム関係の役割をお願いすることが中小企業で情報システム体制を確立することにつながるといいました。きっかけは新しいシステムを開発するときに参加してもらうのが自然です。稼働後は自分の周りの利用部門の人たちが活用できるために研修や指導を行い、その状況を見ながらシステムの改善も考えてゆく。そして情報システム担当者を事務局とした、社内の情報システム委員会などに所属し、情報システムの有効活用に貢献する役割を担います。

このようなシステム的な素養を持った人が事業の中心にいると、更に次のステップになる「攻めのIT」を考案できる主要人物に育ちます。「攻めのIT」は各企業の特有でユニークなものほど威力を発します。このような体制の作り方は相乗効果をもたらし、必ずや企業発展の礎になると確信できます。

 

【人事的な配慮を】

有効活用できる人材が育成されても、その人が退職されたら元の木阿弥です。このようなケースは中小企業の場合人間関係だけ社内に引き留めようとする傾向が強くなりますが、終身雇用の崩壊しつつある昨今では無理な相談です。なにがしかの人事的な配慮することが絶対条件です。もともと従来の本業に加えて業務の上乗せする訳ですから他の社員との差が出ても説明がつく問題です。

情報システム系の仕事を経験して、それが性に合っている人は、更に刺激を求めて新しい情報システムの仕事にチャレンジを求める傾向にあります。それが高じて他にチャンスを求めるようにならないよう、経営幹部は気を付けなければなりません。

大企業でも現在問題になっていますが、有能な(優秀な)情報システム人材が定着しにくい問題が発生しています。従来の終身雇用の有難みが薄れているので、自分のキャリアアップの手段としてより魅力的な職場をめざすことが不自然でなくなりました。

高度情報システム人材は今後は今まで以上に引く手あまたの状態になります。

ましてや中小企業では、優秀人材で向上心の強い人材ほど外にでて勝負したくなるはずです。対応策は社内の専門職として処遇面での配慮を考える事とキャリアアップが図れる環境を用意して上げることがポイントになります。具体的には副業等も認めながら自社のITガバナンス体制にしっかりと組込むことように考えることです。