中小企業をITで元気に!

6-1 自社の中期情報システム体制を考える

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【なぜ情報システム体制が重要なのか】

 現在中小企業が情報システム問題で悩んでいるのは一番に社内に情報システム体制がないのが原因です。そしてそれは無理からぬことと思います。単発でPCやサーバーを導入して、必要に迫られて一時的に外部に支援を求めて初歩的な情報システムを構築し、動かしてきました。今まではそれでも良かったのです。しかしこれからの中小企業にとっては情報システムを活用して企業の生産性を向上させ、人手不足を補い、また情報システムを利用して付加価値の高いビジネスモデルに脱却しない限り存続の危機に立たされると申し上げてきました。そしてその解決策がキーパーソンの育成であると申し上げてきました。確かに従前は情報システムに有能な人材を投入する余裕はなく、まず営業部門に回そう、経理部門で番頭役が先だという時代でした。しかしこれからは情報システムにこそ一番有能な人材を充てるべきなのです。その人材を中心に中期の情報システム体制を確立するための中期計画を作成するのです。情報システムの人材は簡単に育ちません。ある程度の経験が必要です。5年後の企業の形態をイメージしてその時の情報システム体制のあるべき姿を想定します。自社で保有するスキルは何か、外部に頼るスキルは何か、不慮の事態が発生したときのバックアップは可能か、等など。今は体制が無くても今後の情報システムの更新や新システム導入を経験すれば社内に人材が育ち、必ず自立的な情報システム運営体制が出来上がります。

 

【情報システムのITパートナー】

 自律的する情報システム体制を確立するために情報システムのすべてに関わる業務を自社社員で行う必要はありません。それは全く愚かな選択です。しかし最低自社社員で受け持たなければならない情報システム関係のスキルは、前述のキーパーソンの備えるべきスキルに加えて日常の運用ができる能力(利用部門からの問い合わせ対応やトラブル対応、マスター登録・変更やバックアップ処理等)を保持すれば後は外部に委ねるか、自分たちで調達(育成)するかはその時の社内事情で判断することになります。ただ一つ外部に依存しなければならないスキルの領域があります。情報システムを支えるIT技術の進歩はとても早くて中堅企業はおろか大企業でも自社要員で追随することは難しいのです。やはり5年程度先までのITトレンドを身につけている外部の専門家をITパートナーとしてキーパーソンの相談相手として存在してもらう必要があります。このITパートナーについては後述致します。

 

【今後のシステム開発はDev/Ops中心】

 「自社で自立的な情報システム体制を整える」と提案している背景を、自社の事業戦略に合わせた情報システムを自ら考えだすことが競争優位に立てると説明をしてきました。これば「攻めのIT」を実現する必要条件だからです。もう一つ「守りのIT」の視点で考えても自立的な体制を整えることは重要な事です。その理由は従来のシステム開発方法ではシステムの開発や調達と稼働させた後の保守、改善作業は別の人が担当することが普通でした。そのほうが効率が良かったからです。今後は開発が易しくなり、大規模な開発を必要としないので、保守や改善作業が一体化して同じ人が担当する傾向が強くなってきます。それはシステムの開発が以前よりも簡単に行える環境が整ってきたからです。これを専門用語でDev/Ops)(Development&Operation)と言います。そしてこの考え方の延長には、利用部門の人材が本業の片手間に、情報システムの保守や改善を直接担当する方向性が見えています。取り立てて情報システム部門のような専門部隊を組織しなくても済みます。情報システム担当者が教師役になって最低限の情報システムスキルを移植をすることで利用者も含めた自立的な情報システム体制を整えることができます。

 

【必ず複数体制で臨む】

 残念ながら情報システムを取り巻く仕事はいまだに極めて属人性が高いのです。特定の人に任せた体制は一見効率が良さそうですが、長期で考えると極めてリスクが高いことが容易に想像できます。また属人性が高くなっている当人もいろいろな判断や進め方を相談する人がいないと、心理的なプレッシャーがかかって良いパフォーマンスが出せません。この問題の解決策唯一つ、バックアップ体制とること以外に解決策はありません。しかし単純なバックアップ体制は体力のない中小企業では難しいですね。図1は情報システム関連業務のと担当部門(者)と支援体制を表わしたものです。現実は簡単に整理できませんが自社で備えるべきスキルとの関係もあるので参考にして下さい。