中小企業をITで元気に!

5-4  5年程度の情報システム構想を作成してみる

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【現在の業務の問題と情報システムの課題を整理する】

 現在なにがしかの情報システムを動かしている企業では、必ずなにがしかの不満を持っていることでしょう。情報システムに対する不満であったり、業務の流れや組織の役割分担による不満であったりします。先ずそこから整理することが必要です。世の中には「攻めのIT」などと言ってビジネスプロセスの変革のために情報システムを活用しましょうと講釈する人が沢山います。大手企業との取引が中心の中小企業では、自らの都合だけで対外的なプロセスの改革など出来ません。またITシステムを中心としたデジタルマーケッティング等もベースとなるマーケッティングの考え方を持っていないと意味がありません。それよりも身の回りに改革や改善するべき種が沢山転がっています。おそらく経営者をはじめとする中心的に企業を動かしている人は、およそのイメージを持っているはずです。さぁ、心ある人が集まってデスカッションをしましょう。それだけで8割がたの課題が見えてきます。それをみんなで共有できるように文書として残せれば解決の第一歩を踏む出すことになります。

 

【自分たちで作成できないときは】

 情報システムに関する要件定義でなくても文書化は、慣れていないとできないものです。そして中小企業ではそのような文書を作成する機会があまりありません。決して洗練された見栄えの良い資料作成する必要はないのですが、それが理由で進まなくなる企業も多いのです。事情が許せば構想を作成するために外部の力を借りる事も考えましょう。この場合大組織のコンサルティング会社ではコストが見合いません。ITベンダーではある程度の低価格で応じてくれることもあります。しかしこれは後々ベンダーの製品を購入することが前提になり、いわば紐付きのコンサルティングになります。このようなケースでは個人事業主として活躍している情報システム経験あるシニアや、副業が可能になった企業の情報システム経験者を探すとよいでしょう。但し誰でも良いわけではありません。中小企業のコンサルティング経験があること、比較的新しい情報システム技術に携わっていること。この2点だけは充分に確認することが必要です。

 このコンサルタントとの相性が良い場合は、以後情報システムの有効活用を実現するための情報システム構想作成の相談相手として引き続き契約をするのがいいと思います。

 

【情報システム構想の構成は】

 情報システム構想の説明のため実際の作成例の目次を説明したします。

 

まず企業の事業に関する状況をまとめましょう。日頃漠然と話したり、考えたりしていたことを他の人と共有することで、より完成度、実現度が高い内容になるはずです。

それから現在の情報システムの現状抱える問題をあぶりだして、その解決の方向性を打ち出しことになります。ここで重要なことは完全な解決策を求めないことです。実際の解決策は本格的なプロジェクトの中で専門家を入れて検討することになります。

 次に業務改善の構想の肝になる部分「業務改善の考え方や実現方法」を検討します。以前に言いましたが、この部分は企業のそれぞれの部門の中心的な人が既に意識の中に持っています。それを吐き出してもらいましょう。ある程度の整合性をとって、部門最適でなく全体最適になるよう心掛けてください。

 そして業務改善や現在の情報システムを改善するための情報システム基盤を考えます。その時に一番留意することは情報システムの体制問題です。目の前にある機器やソフトに目が行きがちですが、5ヶ年程度の先を見通して、開発体制と保守・運用体制のイメージを考えておく必要があります。外部に求めるのは教師役であり、日常の業務は自社で行うことを前提に考えてください。

 そして最後は「投資と効果」をまとめます。ここが非常に難しいところです。ある程度の前提をおき、推測することが必要です。投資については設備投資的な一時費用と毎年発生するランニングコスト別に分ける必要があります。効果については効果が数字で表される定量効果と期待値も含めた数値化できない定性効果があります。今後の情報システムの効果はこの定性効果が有効活用の鍵を握ることになりますが、この時点ではその実際が見えません。しかしできる限り関係者に正確に伝わるような表現をすることが重要になります。

 

【ステークホルダーとの関係を密にする】

 この構想を作成するにあたって決して一人よがりになってはいけません。構想を作成する前から構想作成の考えを説明して必要性を理解してもらい、構想作成に協力してもらわなければなりません。最初に協力体制ができていれば構想立案に続いて、本格的なプロジェクト立上げやその後の実行フェーズでも協力してもらえます。