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2-5 情報システム化には社内にキーパーソンが必須

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【情報システムは企業の血管である】

 企業を人間の体に例えれば、情報システムは人間の体をめぐる血管の役割を果たしています。血液は情報であり、企業の隅々まで情報を届けて、隅々の情報を集めてきます。

従って末端の血管が傷ついたり、梗塞を起こすとその部位は機能不全に陥いり、中枢の血管に異常が発生すると死に至ることになります。ひと昔前の情報システムはコストと能力の関係で、企業の隅々まで浸透はしていなかったのでその影響力は限られていました。しかし最近は企業のあらゆる場所に進出して業務と一体化していて、まさしく人間の血管と同じように企業の中に浸透しています。コレステロールが沈殿したり、動脈硬化にならないようケアしなければならないことも全く同じです。

もう一つ同じような比喩があります。それは人間も企業も生きているときは当たり前のこととして血管や情報システムの存在を当事者は意識することはありません。正常に動いていて当たり前、何も関心を払うことをしません。そして故障したとき始めてその有難味を知ることになるのです。だからこそ情報システムも日常の地味な監視や予防的なケアが大事なのです。

【キーパーソンの存在が欠かせない】

さて人間の血管と同じような企業の情報システムにどのように接すればよいのでしょうか。まず情報システムに関する根源的な内容は他人任せにできないことは十分に理解していただけたと思います。しかし一般的に中小企業は常に人材不足に悩まされ、そんな余裕がないと言われています。情報システムの専門能力を持つ人材を育成したり、外部から中途採用することまではできないことも十分に理解できます。

ではどうすればよいでしょうか。「情報システムを有効活用するキーパーソン」を育成すればよい。これが本文の結論であり、提案になります。社内の核人材の一人に情報システムの幅広い知識(浅くて良い)を身に着けてもらい、自社の情報システムの推進役になってもらう事です。決してプログラムを作成したり、現場の人間にパソコンの使い方を指導することが役割ではありません。そのキーパーソンの有資格者は、既に社内にある程度の影響力を持っていて、情報システムの重要さを認識して、少しだけのチャレンジ精神を持ち合わせてくれればよいのです。チャレンジ精神が旺盛だと中小企業の規模では収まりがつかなくなり、経営に大きな負担をかけるので、少しだけのチャレンジ精神がちょうどバランスが取れるのです。

【情報システムキーパーソンとはどんな役割を演ずるのか】

情報システムキーパーソンの役割は大きく3つあります。

①経営者に対して:自社の情報システム構想を立案し、その必要性と投資コストと

効果の関係を説明して、全社が前向きに取り組む機運を醸成する事。

②利用者に対して:事業に貢献できる情報システムを一緒に考え、導入に際しては

協力関係を作り、積極的に利用してもらう環境整備をする事。

③ITベンダーに対して:IT関係の情報提供を受け、自社の情報システムの更新

や改善を意識し、情報システム構築や運用時に外部の人的スキルを活用できる

的確なベンダーマネジメントを行う。

この役割は今までの中小企業の中の人材では演じられていなかった役割になります。いや大企業でも社内に適格者がいないことを理由に安易に外部(コンサルティング会社、システムインテグレータ会社)に求めていた節があります。そのために失敗に至る道を歩んだ大企業がいかに多いことことか、このことは最近になって、失敗を重ねた結果ようやく認識されてきたことです。この3つの役割は、社内人材が当事者意識をもって粘り強く推進する必要があり、それが実現できれば情報システムの有効活用は成功したも同然です。

【自社で育成するのが一番】

では情報システム有効活用のキーパーソンはどうすれば自社内で確保できるのでしょうか。

即効性のある方法は、経験者を中途採用することに尽きる、と考える経営者が多いのではありませんか。その方法でも希に成功することもあります。希にと書いたのは技術的なスキルは満たしていても、性格的な面も含めて有能な人材の補強は難しいからです。3つの役割を果たすにことができる人材は、既に社内で存在感を持っていて、経営者や現場の人から信頼感を持たれる人に、キーパーソンとしての必要な知識や知見を持ってもらうのが確実な方法です。企業規模にもよりますが普通は、情報システム関係の仕事だけで、専任の情報システム担当者を設置するほど日常的な仕事量はありません。他の部門の仕事を兼任しながらキーパーソンの役割を担ってくれるのが企業にとっても効率が良い、そしてキーパーソンには特別手当のような仕組みで報いることで、キーパーソンがキーパーソンとしての仕事に誇りと重要性を認識してもらうことが一番の方法だと考えます。