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11-3 システム思考ができる現場社員を育成(デジタル人材)

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【DX時代にはデジタル人材が必要】

「2025年の崖」というサブタイトルで経産省が2018年秋に研究レポートを発表しました。衝撃的なタイトルに加えて、企業にとって身につまされる内容で発表後に情報システムに関する各方面の講演やレポートや提案に利用されています。一言でいうと今後のデジタル化社会を迎えるにあたって、現在の企業の情報システムでは対応できない、仮にこのままの状態が続くようなら、外資の代表的なERPシステムのサポート中止も相まって2025年以降日本全体で年間12兆円の損失が発生するという内容になっています。現在はまだ社会がデジタル化することによる、社会や企業の有り様、情報システムの位置づけが具体的にどう変化するか全容が見えていない状態です。したがって企業として受け止めなければならないことは、デジタル時代に対応できる情報システムとはどういうものか、明確にされていない中でどうすればよいかということになります。答えはまず第一にデジタル人材を育成して来るべきデジタル化社会に備えるということでしょうか。第二は現在の情報システムを見直してデジタル時代に対応できる情報システムに整備することになります。そしてこれは大企業だけでなく中小企業にも同じように降りかかっている難問なのであります。

デジタル化社会は大企業と中小企業区別なく襲い掛かってきます。対応を間違えたら企業は存続の憂き目にあうこと間違いなしといえるでしょう。

注:「2025年の崖」論が発表された後に前述の外資ERPシステム提供会社から、サポート期間の延長が発表されています。

 

【デジタル人材はどのように育成できるか】

ではデジタル人材はどのように育成すればよいのでしょうか。社会がデジタル化して企業の情報がデジタル化するとすれば、それを逆手にとって事業の変革と伸長をつかさどるデジタル人材というのは、当然事業部門の第一線で活躍している人でなけれなりません。そのような人たちにデジタル思考を身に着けてもらうことがデジタル人材の候補者を育成することになるのです。

そもそもデジタル人材とはデジタル思考ができる人達のことです。デジタル思考≒論理思考と考えれば、現場の第一線で活躍している人に情報システムの知識を身に着けてもらい情報システム化を推進してもらう、情報システムを開発してもらう、情報システムを運用してもらうことによりそのうちの何人かはデジタル人材へと育っていくと考えられます。幸いこれからの情報システムは専門家でなくてもシステムの開発や運用が可能になります。中小企業クラスの情報システム規模であれば、先に説明した情報システムキーパーソンが情報システム化の方向性を見定めて、企業の情報システム化構想実現の立ち上がりで教師役をあてがえば事業部門の現場にいる人たちで、立派に情報システム化を推進して、その上有効活用も可能になります。これを一石二鳥といわずして何といえばよいでしょうか。

 

【デジタル人材の育成と人事制度】

このようにして育ったデジタル人材は、自分たちの企業の情報システムにデジタル化した情報を容易に取りこんで新たな付加価値を持った情報システムを考えてくれるのです。さらにビジネスの変革にも挑戦できる能力を持ちうることが可能です。また新たなデジタル化の可能性を見越して新しいビジネスの道も考えてくれるでしょう。企業にとって救世主となるのは間違いありません。もちろんこのような人材は、従来の伝統的な人事制度の中では窮屈になり、自分の付加価値を認めてくれる別の場所へと巣立っていく危険性も高いのです。ですから育成と同時に人事制度にも手を付けないと企業としてのデジタル化対応は終わったことにならないのです。経営者にとっては頭の痛いことです。しかしこれを乗り切った暁には将来展望のある会社に変身しているはずです。