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10-3 効果を見える化する指標と測定方法

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【業務改善案の達成状況】

まず何といっても業務改革や改善を目的に情報システム化を進めた訳ですから、評価の一番は業務改善度にするべきです。その指標となるのは、事前に業務要件を検討したときの「業務改善案」です。業務改善案では業務毎に要件を定義し、仮に実現したときは「このような効果がある」と定義をしてあるはずです。その効果を判定する訳ですが定量的な数値で定義できることはめったにありません。改善案が大きなくくりで定義されているほど大まかな指標になり、定性的な効果表現になりがちです。評価の視点は情報システムだけでは片手落ちになります。情報システムと一体化した人間の業務プロセスも同時に評価の対象にしなければなりません。従って少しマクロ的な視点になりますが、利用者と利用部門の管理者に対してそれぞれアンケートを実施する方法があります。この場合のポイントは利用者と管理者は別のアンケートにする必要があります。情報システムの効果の特色は、直接の利用者の負担が若干増えても管理者の業務の効率化を大きく改善することがかなり見受けられるからです。また管理者にはインタビューでより実情を把握することも忘れてはいけません。この測定で実態の把握がかなり正確にできるはずです。

しかし留意しなければならないことがあります。それは測定する時期です。情報システムが本稼働した直後避けるべきです。システムによって違いますが3~12カ月後の間を置く必要があります。理由は情報システムの初期不良が収まる迄待つ必要があること、利用者がシステムの習熟に慣れるまで待つことです。

いずれにしてもマクロ的な視野で評価を実施する過程で、次なる情報システムの改善課題を見つけることが出来ます。

 

【省力効果】

省力効果を測定する方法は難しくありません。情報システム導入前の業務に必要とされていた、人間系の作業量(個別作業に必要とする人的な作業量を時間、日数、月数で表す)が、情報システム導入後はどうなったかを計測して比較すれば測定できます。ただ情報システムの規模が大きい時は、すべての業務を計測することは無駄です。サンプルを取り出して実測したり、推定をしたりして算出するのが現実的です。また統合システム化のようなケースは全体最適を意識しますので、利用者の一部では逆に作業量が増加する場合もあります。基本は実測して業務量を図り、複雑になるケースは推定値を使って、情報システムを導入した結果の作業量を算出することで省力効果を導き出します。業務量は日(平日、祝日、月末)月(平月、決算月、年末)、季節(夏、冬)などの変動要因があります。どこまで正確に算出するかは、求めたい省力効果の正確度とその意味のバランスで臨機応変に考えましょう。

 

【期待効果】

  大きな概念でいえば、情報システムの計画段階で効果を考えるのは全て期待効果になりますが、ここでは直接的に得られる効果以外に、間接的な効果のことを期待効果と呼びます。すなわち効率化したり、業務の間違いが少なくなったりすると、顧客から信頼を得られます。業種にもよりますがブランド力の向上につながります。また営業系のシステムであれば、営業マンの効率化が進むことで顧客と接する時間が増えたり、情報システムの提供情報により効果的な営業活動ができることで、売上増が期待できるというようなことです。このような間接的な効果迄分析することは通常ありませんが、実現性がかなり高く、顕著に期待ができる場合や、戦略的なシステムで効果がすぐに表に出てこないようなときは、情報システムの投資効果としてとり上げることもあります。

この様な問題に定説はありません。システムオーナーとの関係や、情報システム開発の必然性などにより、開発責任者が決めることになります。

 

【プロジェクトの運営評価】

 忘れてならないのが、プロジェクトの運営評価です。これは情報システム間発の評価とは違う観点になります。勿論プロジェクト運営が良ければシステム開発の成功に繋がりますから、全く別物ではありません。ただ情報システムの評価だけでは、済まされない問題が沢山あり、それをとり上げて評価することは、今後のプロジェクト運営やシステム開発にとってとても参考になるのです。先ずプロジェクトのQCD評価です。これがプロジェクト運営評価の基本です。次に大きな視点は人材の育成です。プロジェクトを通じて参加しているメンバーがどのように成長したか、当初の個人の目標達成がどんな結果に終わったか、プロジェクト運営への教訓として残すべきものは何か。このような視点でプロジェクト責任者だけでなく参加メンバーや、プロジェクトのステークホルダーの意見を取りまとめて報告をするべきです。

よく経営者や利用部門の責任者から、「俺はITはよくわからんから」と逃げる口実に使われることがあります。それほど情報システムの世界は関係者以外に理解されにくい世界でした。しかしこれからの企業は「ITは知らない、情報システムは苦手だ」という経営者や管理者は、いりません。それほど企業の中に情報システムが浸透しています。いや浸透させなければなりません。だからこそ情報システム関係者も少しでも経営者や管理者に理解してもらうよう、このような機会に報告をもって情報発信をしなければなりません。