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10-2 情報システムのコスト

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【情報システムのコスト構造】

  情報システムのコストをどのように考えるか(どのように評価するか)という点も長年の課題です。先ずどこからどこまでが情報システムコストなのか、毎年の情報システムコストは一体いくらかというところから始めなければなりません。いわゆる「情報システムコストの見える化」です。残念ながら大多数の企業は見える化がなされていません。勿論経費としての把握はされています。しかしどの業務システムに対する経費なのか、全社の一般経費なのか、分計がされていないので管理会計的なコスト管理ができないはもとより、原価への組み入れなども的確に出来ない状況なのです。その理由は情報システムの構成自体が全社の汎用的なコストや事業分野に依存する情報システムコストが入り混じっていることに原因があります。したがって情報システムコストの構造をよく理解することから始める必要があります。図01でJUAS(社団法人日本情報システムユーザ協議会)の情報システムコスト研究会で検討されている情報システムコストモデルを紹介します。どの企業もいずれはこのような構造に沿ってコストを見える化したうえで、最低でも事業部門別に配賦できるようにしなければなりません。また見える化したときのメリットはまだあります。毎年同じような見える化を実施して積み重ねると、経年変化がわかります。前年に比べて何が減ったか、増えたか、その理由は何か、を追いかけるとより精緻な予算を作成したり、コスト削減の糸口が簡単にわかります。

 

【情報システムコストの負担(配賦)】

情報システムコストを把握して、そのコストは配布しなくてはいけません。現在大企業で問題になっていることの一つに「不要で利用されていない情報システムが増加傾向にある」という事です。利用されていないシステムなら、すぐに廃棄すれば良さそうですが、簡単にできません。

情報システム部門も利用部門は、いざ廃棄する段になると将来必要になる可能性がある、誰かが使っているはずだというような理屈をつけて存続させます。管理がされていなく廃棄した後トラブルが発生するリスクがあり、情報システム部門としても廃棄しないほうが害がないので、そのままにします。ではなぜ利用されなくなる情報システムが増えるのでしょうか。それは情報システムコストが全社の間接コストとして扱われ、事業部門に対して配布されていないことが原因です。利用部門は自分の懐が痛まないので、一時的に必要と考えたら情報システムの構築を要求します。十分に投資効果を検討しないで構築するからです。特にランニングコストと呼ばれる保守、運用のコストは完成してから発生するので、どんぶり勘定になりその傾向が強まります。できるだけ情報システムコストは事業部門に配賦することで受益者負担の原則を確立しなくてはなりません。ちなみに使われなくなった情報システムのことは業界では「野良システム」と呼んでします。オーナーを失ってさまよい、時には人間に害をもたらす犬のイメージと重なっているからです。

 

【トレンドはサブスクリプション】

  サブスクリプションという言葉を御存じの方は最近多くなっていると思います。もともとは定期購読、定期利用などを意味するらしいのですが、情報システムの世界では、ソフトウェアの利用契約などを表現する言葉として使われだしました。敢えてここで持ち出したのはこのサブスクリプションの対象がソフトウェアに限らないで、ハード、システムソフトの領域まで広がったからです。特にクラウドが普及を始めてから、情報システム全体がサブスクリプションの対象になってきました。いろいろな形態があるようですが、代表的な形態では、利用する人数と利用する期間で月ごとのコストを決めています。

そしてこのことは企業の情報システムコストを管理する上では、極めてシンプルになります。まだクラウド化は切り替えの途上にあるため従来のコストとサブスクリプションの対象になっている情報システムコストが併存しているので全体がシンプルになったわけでありませんが、今後はコスト管理の在り方が大きく変わってくると思われます。事業別、製品別、サービス別の原価を綺麗に分計できる、管理会計の精度が向上することによって、経営戦略や事業戦略の実現と情報システムの関連性が現在よりクリアーになり、PDCA管理が可能になるはずです。