中小企業をITで元気に!

10-1 本当に効果が出ているのだろうか?

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【情報システムの効果とは】

情報システムを考えるとき、その投資効果をどのように考えればよいかとよく中堅中小企業の経営者の方に聞かれます。「これは非常に難しい問題です」とお答えしますが、これは答えになっていないと思いつつお答えをしています。

経営者にとって投資に対する効果とは、売り上げにどれだけ寄与するか、利益にどれだけ寄与するかという事です。別の言い方をすれば企業力強化に情報システムがどれだけ貢献出来たかという事です。通常の投資(工場の新設、トラックの購入等)は割合直線的に投資と効果が影響し合うのでかなり正確に効果を算定することができます。しかし情報システムの場合は導入して、稼働しても効果は目論見通りになりません。その理由は人間が介在するからです。介在した人間の動き方一つで情報システムの効果が大きく違ってくるのです。

コンピュータ黎明期の情報システムはかなり正確に効果が予測できました。情報システムの適用領域が最初から明確に合理化、省力化を狙っていたからです。その領域でないとコンピュータの能力不足で適用できなかったからです。しかし年々コンピューターやネットワークの性能が向上したことにより企業の全方位の業務を情報システム化の対象にすることが可能になりました。そうなると利用目的は省力化だけでなく、社内業務の品質向上や営業業務の効率化、機会損失の事前回避、消費者の購買動機の醸成等、直接に売り上げや利益に貢献しなくても、中期的な企業の成長に寄与すればよいとする情報システムが増えました。またミッションクリティカルなシステムは、代わりになる手段がないので、情報システムが無いと業務が立ち行きません。効果がある無しに関わらず必要な情報システムとなっています。

このような状況の中で経営者に対してどのように投資効果を説明できるものでしょうか。いろいろな前提を付加したうえで効果を算定したところで、前提になる条件が狂えば意味がありません。経営者や情報システム関係者が悩んでいる問題です。

 

 

【企業が本来評価するべきポイントは】

情報システムを開発し稼働させたら、その情報システムの有効性を評価しなければなりません。しかし評価の物差しとなる評価基準は絶対的なものがありません。その企業特有の環境の中で発揮される有効性は、また企業それぞれによって違うからです。従って現実的な情報システムの評価は、まず開発計画立案時に設定した「目的」、「狙い」等を利用して、いくつかの視点で評価を試みることです。具体的には業務改善案の達成状況、省力効果/期待効果、プロジェクトの運営評価等があります。しかし事業の改革を狙ったような大型のシステムの場合は個別の業務改善に視点を向けても意味はありませんから事業の成否がそのまま情報システムの評価になります。

 

 

【今後は情報システムに対する投資効果は意識しなくてもよい?】

情報システムの投資効果はしっかり見極めなくてはならないと説明をしておきながら、歯切れの悪い言葉が続きました。個別の事業に対する情報システムは、その効果が見定めやすく、またコストもみえる化し易いのですが、昨今の情報システムは企業の全業務のあらゆる場面に登場しています。逆説的に言えば、それだけコストパフォーマンスが向上していると言えます。先にとり上げたように、金融や交通系の情報システムのように社会的に重要な情報システムは、投資効果を論ずる前に、それが無いと事業継続が成り立たないもので投資効果は問題にされません。また同一企業の中でもメールシステムやコラボレーションシステムのように、企業運営に欠かせないシステムがあります。これらはROIを意識してシステム開発の是非を判断するものでありません。今やいたるところに存在して、更に増え続けている情報システムの評価の物差しはROI一つではなくなりました。いろいろな視点から評価する時代に入ったというべきでしょう。