中小企業をITで元気に!

1.1 中小企業の情報システムの活用の歴史と現状

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【本稿で想定している中小企業とは】

 

中小企業と言っても数多くの業種や企業規模があり、それぞれが特徴を持っています。ここでは情報システム問題を取り上げるので、コスト高を承知で情報システムを丸ごと外部に依存している新進気鋭のスタートアップ企業や情報システムを事業の戦略として前面に押し出している企業は対象から外すことになります。本稿は創業から何年も経過し従来からのビジネスモデルを継承し継続性を死守しながら頑張っている大多数のBtoB企業を想定しています。

 

【1980年代のオフィスコンピューター】

 

1980年代に登場したオフィスコンピュータが中小企業にとって情報システムとの始めての出会いではないでしょうか。ほぼ経理や給与計算の専用機といってよいほど、限られた業務の計算処理と帳票印刷機であったが、それでも間接部門の省力効果は大きく、中小企業に競って導入されました。専用機であるが故の簡単操作や運用・保守の手軽さが歓迎され、将来大きな問題になる「情報システムの有効活用」問題など微塵も感じられない時代でした。

 

【PC、サーバーの登場】

 

1990年代の中頃から現在のPCの初期モデルが出回り始めました。当初はオンライン端末機やワードプロセッサー向けに大企業のみならず中小企業でも同じように浸透が始まりました。当然利用形態は独立したスタンドアロン形式で、現在全盛のエクセルの前身になるソフトウェア等も開発されて市場に出回り始めたのです。この頃までは企業の情報システム活用能力はあまり問題にならず、個人のコンピュータに詳しい人(または好きな人)が中心になって事務処理の一部をPC処理に乗せ換えていたようです。ちなみにこの時期大企業では、汎用大型コンピュータを管理統制する情報システム部門とPCを勝手に導入する利用部門で、ダウンサイジング闘争が発生していました。そしてその後のPC能力の驚異的な向上は汎用大型コンピュータに匹敵する能力を持ちサーバーと呼ばれる大型PCに変身し、汎用大型コンピュータも駆逐する存在になってゆくのでした。

 

【驚くべきインターネットの威力】

 

PC能力は大型化しましたが、ハード価格は従来の汎用大型機の1/100以下になり、加えてオープンなOS(オペレーティングシステム)を搭載したシステムは圧倒的な価格競争力を持ったクライアントサーバーシステムとなりました。そしてその上にインターネットが登場したのです。LANで接続されたクライアントサーバーのネットワークとインターネットで繋ぎ合わせたことで人類はとんでもない可能性を秘めた化け物を誕生させてしまったのです。あらゆる領域にコンピュータを適用(活用)でき、その費用も従来からは想像できない価格で提供される。それはデジタルトランスフォーメーション時代の先駆けでもありました。

知恵と工夫と悪しき慣習を打ち砕く実行力で、情報システムの有効活用を実現した企業のみが生き残る時代になったのです。

 

【中小企業の情報システム利用レベル】

 

こんな時代を迎えた中小企業の情報システムを概観してみましょう。一口に中小企業の情報システムといっても、導入して利用しているレベルは業種や企業規模で違いがあり図1-1-1示すように大きく3つに整理できます。

 

 

 

 

「あなたの会社はどこに入りますか。思い当たることがあると思います。」

次回は中小企業の情報システム活用が大企業ほど進まなかった訳を考えてみます。それは投資する体力がなかったことだけが理由ではないようです